ひとり電通マンのアド戦記

広告代理店ではたらく男の日記

広告業界に参入するコンサルティング会社

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世界第1位の広告会社は、1971年に設立された英国のWPPである。大型のM&A(企業合併・買収)を次々と成し遂げ、J・ウォルター・トンプソン、ヤング&ルビカム、グレイなどの有力広告会社を傘下に収めた。1998年には、アサツーディ・ケイ(ADK)とも資本・業務提携している。 

(既に資本提携を解消済み)

第2位は米国のオムニコム・グループだ。BBDO、DDBといった米国の大手広告会社が中心となって、1986年に旗揚げした。第3位はフランスのピュブリシス・グループ(1926年創業)。レオ・バーネットなどの有力広告会社を擁し、2012年まで電通とも資本・業務提携していた。オムニコムとピュブリシスは合併の計画もあったが、2014年に頓挫した歴史を持つ。 

 第4位のインターパブリック・グループは、広告会社のグローバル化に先鞭をつけた米国のメガ・エージェンシー(1961年設立)で、マッキャンエリクソンが中核となっている。日本法人のマッキャンエリクソン(1960年にマッキャンエリクソン博報堂として設立、1994年に博報堂との合弁を解消)は、外資系広告会社として知られている。 

 以上の「四大メガ・エージェンシー」に次ぐ第5位が、日本の広告会社の代表とも言える電通だ。もともとは1901年(明治34年)創業の通信社。広告業を兼営し、新聞広告に強みがあった。戦時統制によって通信部門を分離、広告専業となった(通信部門は共同通信社、時事通信社の前身となった)。 

 戦後は民放の全国ネット化をバックアップして、テレビ局との太いパイプを作り、日本の広告業界に君臨してきた。ところが、王座にあぐらをかきすぎてグローバル化に乗り遅れ、広告会社世界一の座から転落。巻き返しを図るため、2013年には世界第8位だった英国イージス・グループをM&Aで完全子会社化。それをテコに、四大メガ・エージェンシーとの経営規模の差を一挙に縮め、海外売上げ比率は4割を超えるまでになった。 

 第7位はフランスのアバス。世界有数の通信社だったアバスの広告部門が母体となり、1968年に設立された。“フランスの電通”のような広告会社だ。 

 第10位には博報堂DYホールディングスが入った。電通と並ぶ日本の広告業界の雄、博報堂(創業は1895年)が2003年、大広、読売広告社と経営統合して生まれた。大広はインターパブリック・グループとも業務提携している。 

 

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グローバルランキングで目を引くのは、デジタル広告を取扱う企業が上位に食い込んできていること。デジタル広告の成長ぶりを示していると言っていいだろう。しかも、純然たる広告会社ではなく、ITが得意なコンサルティングファーム、ITサービスプロバイダーといった異業種が多い。つまり、デジタル広告の領域では、ITに長けた企業が広告会社の縄張りを脅かしているというわけだ。以下はデジタル広告業界の世界ランキングである(先のランキングとは違ってエージェンシー単位)。 

 

デジタルで第1位、全体で第6位となったアクセンチュアは、米国の大手コンサルティングファーム。日本法人もあるのでお馴染みだろう。今はなき世界的な会計事務所、アーサー・アンダーセンのコンサルティング部門が独立した。ITを活用したコンサルティングでも定評があり、デジタル広告戦略のサポートなども手がけているというわけだ。日本では、デジタルマーケティングを手がけるIMJを買収して大きな話題になった。 

 全体で第8位のアライアンス・データ・システムズは、米国の大手ITサービスプロバイダーで、顧客ロイヤリティ、マーケティングなどに関するITサービスを提供する。 

 全体で第9位、デジタルで2位には米国のIBMがランクイン。IBMにとっても、デジタル広告関連事業のウエートが高まっていると見られる。全体で第11位、デジタルで3位のデロイトは世界最大の会計事務所グループ。本拠地は米国だが、日本ではデロイトトーマツグループとして活動し、デジタルコンサルティング部門もある(デロイトデジタル)。日本では、競合のPwCや野村総合研究所もPwCデジタル、NRIデジタルを立ち上げている。 

 第12位には新興国勢も顔を出した。ブルーフォーカス・コミュニケーション・グループは中国最大のPR会社である。 

 勢いに乗るIT系の新興勢力に対して、メガ・エージェンシーも手をこまねいているわけではない。たとえば、デジタル広告部門のグローバルランキングを見ると、ワンダーマン(第5位)、オグルビー&メイザー(第7位)といったWPPのグループ会社も上位に名を連ね、健闘している。 

 電通は、中国でのデジタル広告事業を拡大するため、2010年にはブルーフォーカスと合弁でPR会社を立ち上げている。また、ASEANでのデジタル広告事業基盤を強化するため、2012年にはシンガポールに電通メビウスを設立するなど、デジタル広告の国際展開に向けた布石を矢継ぎ早に打っている。さらには今年に入って、デジタルマーケティング専門の新会社、電通デジタルを設立し、CRMやカスタマージャーニー、ビッグデータ、AIといったIT分野への注力を表明している。 

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